ある読売販売店の場合、配達する朝刊約7000部に対して新聞社が搬入する部数は8750部。残りの1750部は梱包を解かれることもなく倉庫に山積みされ、週に1度、古紙業者の4トントラックで積み出される。その1750部の分は販売収入はもちろんないが、その分も含めた卸し代金が新聞社から請求される。新聞の販売収入は、新聞社と販売店でおおむね折半するが、それで押し紙分も支払わされたのでは販売店は成り立たない。ところが販売店には折込チラシの収入がある。折込チラシの枚数は原則として新聞の公称部数と同じだから、販売店は8750部の分の料金を手にするが、実際には押し紙の分は折り込まずして料金だけを騙し取り、その分のチラシも倉庫に放り込まれる。チラシの水増し請求分と、押し紙の分の新聞とチラシの古紙回収代金が販売店の収入となり、それで新聞社に払う水増し請求分を相殺するのだが、相殺しきれない場合は新聞社が“補助金”で埋める。それが「販売経費」である(朝日がそれを60億円も削減したら、ますます押し紙が利かなくなる)。

 そうまでして新聞社が公称部数を膨らませるのは、広告媒体としての価値を高値で維持するためである。食品はじめ他の業界や企業の“偽装”を居丈高に糾弾する新聞が自分は陰でこんなことをやっているのだから話にならない。さらに、「地球環境に優しく」とか社説を掲げたりキャンペーンを張ったりしても、大量の押し紙とチラシを廃棄して紙資源をむざむざ浪費していることへの反省もない。それでいて、部数偽装のことは知れ渡っているから、公称部数で設定された正規の料金を払う広告主などいないし、不況になって広告主が激減している今はますます値崩れが激しくなって、この偽装ビジネスモデル自体が崩壊に瀕しているのである。

#